「年間の国民健康保険料、48万7120円……?」
通知書を見た瞬間、私は思わず声を上げた。
6月は4万8820円。
7月からは、ほぼ毎回4万8700円。
年収は300万円にも届かない。家賃、光熱費、食費を払えば、毎月ほとんど残らない金額だった。
病院へ行くのも、月に1度あるかないか。
「どうしてこんなに高いの?」
腹が立ったが、通知書を破り捨てても金額は変わらない。
私は前年の源泉徴収票、確定申告書、住民票、保険料通知書を持って市役所へ向かった。
窓口の職員は、
「国保料は病院へ行った回数ではなく、前年所得や加入人数などを基に世帯単位で計算します」
と説明した。
さらに、4万8700円は12か月分の「月額」ではなく、年額を6月から翌年3月までの10期に分けた納付額だという。
それでも、年間48万7120円は納得できない。
「計算の内訳を、1項目ずつ見せてください」
私が静かに頼むと、職員は端末から算定明細を印刷した。
その紙を見て、私は違和感を覚えた。
国保加入者数が「2人」になっていたのだ。
同居する息子は8か月前に就職し、すでに勤務先の健康保険へ加入している。
私はてっきり、会社の保険に入れば国保から自動的に外れるものだと思っていた。
ところが、勤務先の健康保険へ加入しても、国保の脱退は自動ではなく、本人側の届け出が必要だった。
息子に連絡し、その日のうちに会社の資格情報通知書を取り寄せた。
翌日、資格取得日が記載された書類を窓口へ提出。
担当者が加入期間をさかのぼって再計算すると、年間保険料は48万7120円から28万9140円へ訂正された。
差額は19万7980円。
すでに納めすぎていた分は還付され、残りの納付額も大幅に下がった。
窓口の職員は、
「通知書に疑問を持ったら、所得額、加入人数、資格取得日、軽減の有無を確認してください」
と教えてくれた。
確かに国保料そのものは重い。
だが今回の原因は、国に黙って搾取されていたからではなく、息子の脱退手続きが済んでいなかったことだった。
怒りのまま放置せず、内訳を確認して本当によかった。
通知書の数字は、絶対に間違わない数字ではない。
その根拠を確かめることが、自分の生活を守る最初の一歩なのだ。