指定席に着くと、私の席には大きな白いバッグが置かれていた。
持ち主らしい女性は隣の席に座り、テーブルを広げて飲み物とお菓子を並べ、スマートフォンを見ている。
私は切符を確認した。
間違いなく「4号車・4番C席」。
「あの、こちら私の指定席なので、バッグを移動していただけますか」
女性は一度こちらを見たが、すぐに視線をスマートフォンへ戻した。
「荷物が多いので、ほかの空いている席に座ってもらえます?」
一瞬、聞き間違えたのかと思った。
「ここは私が予約した席です」
そう伝えても、女性は面倒そうにため息をついた。
「まだ空席がいっぱいあるじゃないですか。少しくらい融通を利かせてくださいよ」
私だって荷物は持っている。
そのために座席上の荷物棚を使い、自分の足元にも収まるようにまとめてきた。
なぜ、お金を払って確保した私が移動しなければならないのか。
それでも言い争いはしたくなかったので、私は通路側に立ったまま車掌を待った。
数分後、巡回してきた車掌に切符を見せ、事情を説明した。
車掌は座席番号を確認してから、女性に声をかけた。
「こちらのC席は、このお客様が予約されています。
お荷物を移動してください」
すると女性は、不満そうに言い返した。
「私、この席も一緒に取ったと思います」
車掌は冷静に尋ねた。
「では、2席分の切符を確認させていただけますか」
女性がスマートフォンの予約画面を開いた。
しかし、表示されていたのは4番B席の1席だけ。
車掌がもう一度確認すると、女性は「予約したつもりだった」と声を小さくした。
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