「お前らごときに、なんで名前を名乗らなあかんねん」
その一言を聞いた瞬間、周囲の空気が一気に変わった。
大阪市内で知人とその子どもと一緒にいた時のことだった。
こちらが声をかけた男性は、自分を「大阪市の職員」だと名乗ったという。
最初は少し態度が強い程度だった。
だから私も声を荒らげず、
「所属とお名前だけ確認させてもらえますか」
と聞いただけだった。
ところが男性は露骨に不機嫌な表情を見せた。
「なんで言わなあかんねん」
そう吐き捨てるように言い、距離を詰めてきた。
知人が間に入ろうとすると、さらに口調が荒くなる。
その場には子どももいた。
だから私は、
「子どもがいるので、やめてください」
と何度も伝えた。
それでも揉め事は収まらなかった。
投稿者側の説明では、その後、胸元をつかまれるような場面になり、同行していた知人や子どもまで巻き込まれたという。
私が一番腹が立ったのは、肩書きそのものではない。
もし本当に公的機関の職員なら、なおさら説明を求められた時にどう対応するのか。
そこが知りたかった。
その場で感情的に言い返すのはやめた。
代わりに、時間と場所、その時に聞いた言葉をスマホのメモに残した。
写真も保存した。
知人にも、覚えていることをすぐ書き出してもらった。
そして必要に応じて警察や関係機関に相談できるよう、記録を整理した。
「職員を名乗っていたこと」
「名前や所属の確認を拒んだこと」
「身体的な接触があったとこちらが認識していること」
一つずつ、感情ではなく事実として並べた。
後日、関係先には「本当に所属する人物なのか」「当時どういう業務だったのか」について確認を求めることにした。
そこで重要になったのは、怒鳴り合いではなかった。
写真、時刻、同行者の証言。
結局、こういう時に一番強いのは記録だった。
相手が誰であっても、肩書きが本物かどうか分からない段階で決めつけるべきではない。
だからこそ、こちらも冷静に残す。
そして必要なら、正式な窓口で確認してもらう。
あの夜、一番怖かったのは子どもまで巻き込まれたこと。
でも同時に学んだ。
本当に理不尽なことが起きた時こそ、大声より証拠のほうが強い。
写真を消さず、時間を記録し、第三者にも確認してもらう。
それが、こちらができる一番冷静な反撃だった。