机に広げたのは、総務に提出されていた設備不具合報告書だった。
1枚目は4月18日。
「トイレのドアノブが引っかかり、内側から開きにくいことがある」
2枚目は4月25日。
「個室に約2分閉じ込められた。何度かノブを動かして、ようやく出られた」
どちらにも、早急な点検を求める記載があった。
さらにファイルの奥には、修理会社から届いた見積書まで残っていた。
ラッチとドアノブの交換で3万8,500円。
担当者の欄には課長の印鑑が押され、その横に赤字で「来月対応」と書かれていた。
「この見積書、課長も確認していますよね」
私が尋ねると、課長はしばらく黙った後、小さくうなずいた。
「繁忙期だったから、すぐに工事を入れられなかった」
「少なくとも、彼が壊す前から不具合は把握されていました」
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