シルバーウィーク初日。
新幹線に乗り込み、自分の指定席を見つけた瞬間、私は少しホッとした。
駅は人、人、人。
ホームも売店も大混雑。
「やっと座れる……」
荷物を棚に上げ、窓側の席に腰を下ろした。
ここまでは普通だった。
ところが発車して10分ほどして、背もたれを少し倒そうとした瞬間。
「ガッ」
後ろから何かに当たった。
「あれ?」
もう一度、ほんの少しだけ倒してみる。
やっぱり動かない。
振り返って理由が分かった。
私の席のすぐ後ろに、大きなスーツケースが縦向きで置かれていた。
しかも座席との間にほとんど隙間がない。
後ろの女性は、そのスーツケースを足元に押し込むような状態で座っていた。
「すみません、少し席を倒しても大丈夫ですか?」
できるだけ穏やかに聞いた。
すると返ってきたのは、
「荷物があるので倒さないでもらえます?」
という一言。
一瞬、私の頭の中が止まった。
もちろん、混雑する連休中。
大きな荷物を持って移動する事情も分かる。
でも東京から数時間。
私は最初から最後まで、背もたれを直角のまま使わなければならないのだろうか。
「少しだけでも難しいですか?」
そう聞いてみたが、
「これ以上置くところないので」
と困った表情。
私もそこで言い争うのはやめた。
新幹線の車内で揉めても、お互い疲れるだけだ。
ところが1時間ほど経つと、腰がかなりつらくなってきた。
周囲を見ると、ほかの乗客は普通に背もたれを少し倒して休んでいる。
私は迷った末、通りかかった乗務員さんに小声で相談した。
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