「合計、86万940円です」
深夜、ようやく目的地へ到着した私は、
タクシーのメーターを見て言葉を失った。
「……86万円?」
同じ区間は、過去にも何度か利用している。
長距離なので安くはないが、
いつも30万円前後だった。
それが今回は、約3倍。
だが運転手は、
何事もなかったように言った。
「メーター通りです。お支払いをお願いします」
その日は出張帰りで、
駅に着いた時には終電が終わっていた。
翌朝までに帰る必要があり、
私は仕方なく長距離タクシーに乗った。
行き先を伝えると、運転手は、
「かなり距離がありますけど、大丈夫ですか?」
と確認してきた。
私は以前も利用したことを伝え、
車は静かに走り出した。
ところが途中、
見覚えのないインターチェンジを通過した。
「今、どこを走っていますか?」
そう尋ねると、運転手は、
「夜はこっちのほうが早いんですよ」
と答えた。
その後も一度高速を降り、
別の道を経由して再び高速へ。
明らかに、いつものルートとは違う。
再度確認しても、
「遠回りはしていません」
「夜間はルートが変わるんです」
の一点張りだった。
疲れていた私は、
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください