「ここは公共の駐車場だろ? 先に停めた人間の勝ちだ」
外回りから会社へ戻った瞬間、私は目を疑った。
私と同僚が毎月契約している二つの駐車枠に、見知らぬ車が堂々と停まっていたのだ。
地面には大きく会社名と番号。
壁にも「契約者専用」と書かれたプレートがある。
見落としたとは思えない。
同僚は車内から降りるなり、困った顔で私を見た。
「管理会社に連絡してみる」
私は何度も電話したが、誰も出なかった。
仕方なく邪魔にならない場所で待っていると、三十分後、二人の男が笑いながら駐車場へ戻ってきた。
「この車、あなたたちのですか?」
私が尋ねると、一人は面倒そうにうなずいた。
「そうだけど?」
「ここは契約車両専用です。すぐに移動してください」
すると男はプレートを一度見て、鼻で笑った。
「公共の駐車場だろ?」
「空いていたから停めただけ。先に停めた人間の勝ちじゃないの?」
もう一人も笑いながら続けた。
「どうせ君たち、もう停める場所ないんでしょ?」
「悔しかったら警察でも呼べば?」
謝罪どころか、完全にこちらを馬鹿にしている。
しかも一人は車の鍵をポケットへしまい、そのまま立ち去ろうとした。
私はスマートフォンを取り出し、車の位置とナンバーを撮影した。
その瞬間、男が慌てて近づいてきた。
「勝手に撮るな!」
「プライバシーの侵害だぞ!」
私は黙って撮影を続けた。
すると男は声を荒らげた。
「お前の会社に苦情を入れて、仕事を辞めさせてやる!」
隣で同僚の手が震えていた。
けれど私は、その言葉を聞いて逆に冷静になった。
なぜならスマートフォンの録音は、すでに始まっていたからだ。
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