「助かった!また今度貸してくれよ!」
友人はそう言って、笑顔で私の軽トラから降りた。
でも、私は返事をする前に違和感に気づいた。
燃料メーターだった。
針はほぼE(空)。
目を疑った。
「え……ガソリン入れてないの?」
思わず聞くと、友人は悪びれる様子もなく笑った。
「あ、ごめんごめん(笑)近所しか走ってないから大丈夫だと思って」
その言葉を聞いた瞬間、正直言葉が出なかった。
私はこの軽トラを貸す前、ちゃんと確認していた。
燃料は半分以上入っていた。
仕事で使う予定があったから、翌日に困らないようにしていた。
それなのに返ってきた車は、ガソリンがほとんど空の状態。
しかも相手は謝るどころか、
「また貸して」
と言ってきた。
私は思った。
「貸したものを、借りた時と同じ状態で返す」
それって、人として最低限のマナーじゃないのか。
その友人とは学生時代からの付き合いだった。
困った時は助け合ってきた仲だった。
だから今回も、
「仕事で荷物運ぶから軽トラ貸してくれない?」
と言われた時、私は何も疑わなかった。
「いいよ。傷つけないようにだけ頼むな」
そう言って鍵を渡した。
友人も、
「もちろん!ちゃんと返すって!」
と言っていた。
だから信用していた。
しかし、返却された軽トラを見た瞬間、その信用は一気に崩れた。
車内には泥汚れ。
荷台には細かいゴミ。
そして燃料は空寸前。
「せめてガソリンくらい入れて返すものじゃない?」
そう伝えると、友人は笑いながら言った。
「細かいなぁ(笑)数百円くらいでしょ?」
その一言で、私はさらに呆れた。
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