「表示は110円でも、会計は165円です。差額はお客様にご負担いただきます」
電話口の男性は、逃げるような声でそう言った。
その瞬間、私の中でスイッチが入った。
今日、私は大型書店の中にある文具店で買い物をした。
ノートが176円。
鉛筆削りが220円。
そして、透明な15cm定規が110円。
商品の裏には、確かに「税込価格110円」と書かれたシールが貼られていた。
ところが帰宅後、何気なくレシートを見ると、定規は165円で登録されていた。
合計金額は561円。
差額は、わずか55円。
最初は私も思った。
「55円くらい、もういいか」
けれど、商品に貼られた価格と、実際に請求された価格が違う。
しかも、私が気づかなければ、そのままだった。
どうしても腑に落ちず、レシートに記載された番号へ電話した。
しばらくして、文具店の男性から折り返しがあった。
事情を説明すると、男性は淡々と言った。
「物価の変動などがありまして、値札シールを貼り間違えたようです」
「本来の価格は165円ですので、会計は合っています」
私は確認した。
「では、お店が貼り間違えた55円を、私が負担するということですか?」
少し意地悪な聞き方だったかもしれない。
だが返ってきた言葉は、想像以上だった。
「はい。申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします」
謝罪というより、早く電話を切りたいだけの口調だった。
私は怒鳴らなかった。
商品裏面の110円シールを撮影した。
165円と印字されたレシートも撮影した。
購入時刻は17時15分。
商品番号、レジ番号、電話の着信時刻もすべて保存した。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください