朝、玄関を開けた瞬間、私は声を失った。
「……何これ?」
玄関ドアからタイル、道路際まで、真っ白なペンキが大量に飛び散っていた。
まるでバケツ1杯を思い切りぶちまけたような状態。
昨日の夜までは何もなかった。
しかも数日前から、斜め向かいの家で外壁工事をしていた。
嫌な予感がした私は、まずスマホで玄関全体を撮影した。
写真は17枚。
ドアの上部、タイル、道路側まで、ペンキが飛んだ方向も分かるように残した。
その後、工事現場へ行き、
「うちの玄関に白いペンキが大量についているんですが、何かご存じですか?」
と聞いた。
すると作業員の男性は、現場を見ることもなく言った。
「うちじゃないと思いますよ」
「でも、こちらも白い塗料を使っていますよね?」
「白いペンキなんて、どこでも使うでしょう」
その言い方に少し引っかかった。
さらに別の作業員まで、
「風で飛んだんじゃないですか?」
と笑った。
いやいや。
風で玄関前が真っ白になるほど飛ぶの?
しかもドアには上から下まで筋状に垂れている。
私は怒鳴らなかった。
「分かりました。では一度確認します」
そう言って家へ戻った。
実は半年前、防犯対策で玄関横に小型カメラを付けていた。
普段はほとんど確認しない。
ところが昨夜の映像をさかのぼると――
午前7時42分。
作業着姿の男性が、白い塗料の入った容器を持って家の前を通っていた。
次の瞬間。
足元で何かにつまずき、
バシャッ。
白い液体が玄関側へ豪快に飛び散った。
男性は数秒固まったあと、玄関を見た。
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