「ちょっと静かにしてもらえますか?」
その一言で、ほぼ満席だった店内が一瞬だけ静まり返った。
休日の午後、私は買い物の途中でスタバに入った。
席はほとんど埋まっていて、空いている椅子を探す人が何人も店内を行ったり来たりしている。
そんな中、少し気になる光景があった。
4人掛けの丸テーブルを、大学生くらいの男性が1人で使っていた。
ノートパソコン。
参考書。
ノート。
筆箱。
テーブルいっぱいに広げ、イヤホンもせず真剣に勉強している。
そして、そのすぐ隣。
本来2人用らしい小さな丸テーブルには、60代くらいの女性4人組。
別の場所から椅子を2脚持ってきて、合計4人でぎゅうぎゅうになりながら座っていた。
「それでね、主人がまたね!」
「あら、それうちも同じ!」
かなり楽しそうだった。
声も、確かに少し大きい。
私は少し離れた席でコーヒーを飲みながら、
「学生さん、集中できないだろうな」
と思っていた。
すると10分ほどした頃。
学生が突然、ペンを机に置いた。
そして女性たちを見ながら、やや強い口調で言った。
「すみません。ちょっと静かにしてもらえますか?」
店内がシーン。
女性4人も会話を止めた。
さすがに気まずくなるかと思った。
ところが1人の女性が、学生のテーブルをじっと見たあと、ニコッと笑った。
「いいわよ」
学生は少し安心した顔をした。
しかし次の言葉が強かった。
「私たちが静かにする代わりに、その4人掛けのテーブルと交換してくれない?」
学生の表情が止まった。
女性は続けた。
「あなた1人でしょう?」
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