夏になると、隣の家では毎週のように庭用プールが始まる。
子どもたちの楽しそうな声が聞こえること自体は、何とも思っていなかった。
暑い日に庭で水遊びをするのも分かる。
濡れた水着やタオルを干したくなるのも分かる。
ただし、使っているフェンスが自分の家のものなら、の話だ。
ある日の午後、洗濯物を取り込もうと庭へ出た私は、思わず足を止めた。
我が家の敷地内に設置した白いフェンスに、隣家のタオルや子ども用の水着が何枚も並んでいた。
黄色いバスタオル。
青いラップタオル。
魚柄の水着。
色とりどりの洗濯ばさみまで付いている。
まるで、最初から隣家専用の物干し場だったような光景だった。
「またか……」
実はこれが初めてではない。
前年の夏にも同じことがあり、私は一度だけ穏やかに伝えていた。
「このフェンスはうちの所有物なので、物を掛けないでもらえますか」
その時、隣の奥さんは笑いながら、
「少しくらいいいじゃない。減るものでもないし」
と答えた。
それ以上揉めたくなかった私は、強く言い返さなかった。
だが今年は、事情が違った。
数日前、隣の夫が子どもたちにシャワーを向けて遊んでいた。
その水がフェンスを越え、我が家に干していたシャツやシーツを直撃したのだ。
洗濯を終えて20分しかたっていない衣類は、泥水を浴びたように濡れていた。
私はその時、濡れた洗濯物と時刻が分かる時計を一緒に撮影していた。
庭の防犯カメラにも、シャワーの水がこちらへ飛んでくる様子が残っている。
今回は黙らない。
私はフェンスに掛けられた水着とタオルを、触らずにスマホで撮影した。
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