「そりゃ、4月27日が真っ先に売れるよ。」
売り場の前で、思わず声が出た。
休日、買い物の途中でキャラクターグッズ売り場を覗くと、ずらりと並んだアニバーサリーキーホルダーが目に入った。
4月11日、12日、13日。
5月11日、26日、27日。
星形のプレートに日付が入っていて、自分や家族の誕生日を探すだけでも楽しい。
私は何となく4月の列を上から眺めていた。
すると、妙に空いている場所がある。
「4月27日」
そこだけ、見事に商品がない。
周りの日付はまだ何個も残っているのに、27日のフックだけが空っぽだった。
私が笑っていると、隣にいた女性も気づいたらしい。
「えっ、27日だけない!」
その声に、小学生くらいの女の子が振り返った。
女の子はカービィのバッグを持っていた。
そして空っぽのフックを見るなり、
「あー、やっぱり!」
と残念そうな顔をした。
一緒にいたお母さんが聞く。
「自分の誕生日じゃないのに、なんで27日が欲しいの?」
すると女の子は当然のように答えた。
「カービィのお誕生日だから!」
なるほど。
4月27日はカービィの誕生日。
自分の誕生日として買う人だけではなく、「カービィ本人の記念日」として欲しいファンが集中したわけだ。
そりゃ強い。
すると少し離れたところから、男性客の声が聞こえた。
「27日ないんですか?在庫、本当にゼロ?」
店員さんが確認して、
「申し訳ありません。本日分は先ほど完売しました」
と答えた。
男性は少し不満そうに、
「他の日はこんなにあるのに?」
と空のフックを指さした。
店員さんは苦笑しながら、
「27日は開店直後から探される方が多くて……」
と説明した。
その会話を聞いていた女の子が、小さく、
「やっぱりみんなカービィ好きなんだ……」
と呟いた。
悔しそうなのに、どこか嬉しそうだった。
すると店員さんが女の子に声をかけた。
「今日はなくなっちゃったけど、また入荷する予定がありますよ」
女の子の顔が一気に明るくなった。
「ほんと!?」
「はい。ただ、27日は人気なので、見つけたら早めがおすすめです」
女の子はお母さんの袖を引っ張り、
「次は朝来よう!」
と即決。
お母さんは笑いながら、
「あなた、自分の誕生日より本気じゃない?」
女の子は胸を張った。
「だってカービィの誕生日だもん!」
その場にいた何人かが思わず笑った。
私ももう一度、空っぽになった「4月27日」の場所を見た。
商品がないだけなのに、なぜかそこだけ存在感がすごい。
売り切れって、ときどき一番分かりやすい「人気の証拠」になる。
他の日付がずらりと並ぶ中、真っ先に姿を消した4月27日。
誰に説明されなくても、理由を知った瞬間に納得できた。
うん。
これは仕方ない。
だって主役の誕生日なんだから。