「うわ、2台分またいで停めてる……。こういう“VIP停め”本当にいるんだ」
買い物帰り、月極駐車場の前を通った時だった。
真っ赤な高級車が、白線のど真ん中を堂々と踏むように停まっている。
左には「2」。
右には「3」。
どう見ても、2枠を1台で使っている。
しかも車はピカピカ。
一瞬、
「高級車だからって、これはさすがに図々しくない?」
と思った。
ちょうどその駐車場は夕方になると満車に近くなる。
実際、その日も空いている区画はほとんどなかった。
私は思わずスマホで写真を撮った。
すると近くを通った男性も車を見て、
「すごい停め方ですね」
と苦笑い。
「ですよね。2台分ですよね」
私もそう返した。
その時は完全に、
「またマナーの悪い人か」
と思い込んでいた。
翌日。
同じ場所を通ると、赤い車はまだ同じ停め方をしていた。
3日後も同じ。
さすがに毎回これはどうなんだろうと思い、駐車場の契約表示を何気なく見た。
そこで私は固まった。
「……え?」
2番の契約者名。
3番の契約者名。
同じ。
もう一度見直した。
やっぱり同じ名前だった。
つまりこの車の持ち主は、勝手に2台分を占領していたわけではない。
最初から2枠とも正規に契約していたのだ。
私は一気に恥ずかしくなった。
「いや、ほんとのVIP停めだった……」
しかもよく考えれば、高級車ならドアパンチを避けたい人もいる。
隣の車との間隔を広く取りたいから、最初から2台分の料金を払って契約する。
それなら誰にも迷惑をかけていない。
むしろ、
「広く使いたいなら、ちゃんと2枠分払う」
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