「警察です。息子の二郎さんに逮捕状が出ています」
玄関の外からそう告げられた瞬間、私の手は思わず震えた。だが、その直後、足元で「ニャー」と鳴く声を聞いた私は、ゆっくりと視線を落とした。
そこにいたのは、私の息子――ではなく、愛猫の二郎だった。
――これは、私が人生で初めて“詐欺師を逮捕させた日”の話である。
私は六十七歳。三年前に夫を病気で亡くし、田舎の大きな一軒家で一人暮らしをしている。
正確には一人と一匹。灰色の毛並みを持つ雄猫、二郎が私の大切な家族だ。
息子は二人いる。長男の健太と次男の翔太。どちらも独立し、家庭を持つ気配もなかったが、三年前、長男が突然結婚した。
「母さん、結婚することになった」
そう言って連れてきたのが、優奈だった。二十五歳という若さで、すらりとした美しい女性。正直、私は驚いた。奥手だった健太が、どうしてこんな素敵な女性と――。
だが優奈は、いつもどこか遠慮がちだった。挨拶はきちんとするものの、目を合わせず、必要以上に話そうとしない。週末に二人で訪ねてきても、彼女は静かに座っているだけだった。
「嫁さん、無理して来なくてもいいのよ」
私は何度かそう言ったが、健太は首を振った。
「優奈が来たがってるんだ」
その言葉とは裏腹に、優奈はいつも緊張しているように見えた。
事件が起きたのは、ある平日の昼だった。
珍しく優奈が一人で訪ねてきたのだ。手には野菜の入った袋を持っていた。
「職場でもらったので……」
小さな声でそう言った彼女を家に上げ、お茶を出したその時だった。
固定電話が鳴った。
受話器を取ると、低い男の声が響いた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=YDzohdHxsvY,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]