出張先で終電を逃した私は、駅近くのカプセルホテルへ泊まることにした。
男女兼用のフロア。
宿泊費は安い。
シャワーも使える。
一晩眠るだけなら十分だった。
受付でカードキーを受け取り、指定されたロッカーへ荷物を入れた。
着替え。
充電器。
仕事用の書類。
財布は手元に残した。
本当なら、そこでロッカーの鍵を確認するべきだった。
でも私は疲れていた。
「あとでシャワーを浴びるから」
そう思い、扉を閉めただけでカプセルへ向かった。
今思えば、完全に私の不注意だった。
夜遅くにシャワーを浴び、着替えて眠った。
翌朝。
チェックアウトの準備をしようと、ロッカーを開けた。
荷物は一見、昨日のままだった。
バッグもある。
シャツもある。
靴下もある。
仕事の書類も無事。
私は何も疑わず、荷物を詰め始めた。
ところが、着替えを整理している途中で手が止まった。
ない。
昨日入れたはずの下着がない。
バッグの底を探した。
シャツの間も見た。
タオルの中も確認した。
ロッカーの奥へ落ちていないか、手を伸ばした。
それでもない。
「入れ忘れたか?」
最初はそう思った。
でも、家を出る前に妻が用意してくれた着替えの中へ入っていた。
ホテルへ着いてからも、自分で確認した記憶がある。
しかも、私のお気に入りだった。
値段が高いわけではない。
ただ、履き心地がよく、出張の時はいつも持っていく一枚だった。
なぜ、それだけがないのか。
財布でもない。
時計でもない。
高価な物でもない。
下着だけ。
私はロッカーの前で、しばらく固まった。
そして、もう一つ重大な問題に気づいた。
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