最初の荷物が届いたのは、夕方だった。
インターホンが鳴り、玄関を開けると、配達員が箱を持って立っていた。
「Amazonからのお荷物です」
そこまでは、特に不思議ではなかった。
日用品や本を頼むことはある。
注文したことを忘れている場合もある。
しかし、配達員は続けて言った。
「着払いで、6,900円になります」
私は一瞬、聞き間違えたと思った。
「着払いですか?」
「はい。6,900円です」
財布へ伸ばしかけた手が止まった。
私はAmazonで、着払いの商品を頼むことがほとんどない。
そもそも最近、6,900円の商品を注文した記憶もなかった。
「少し待ってください」
私は玄関先でスマホを開いた。
Amazonの注文履歴。
発送済みの商品。
配送予定。
キャンセル履歴。
何度確認しても、該当する荷物はない。
今日届く予定の商品自体、一つもなかった。
私は配達員へ画面を見せた。
「これ、注文した覚えがありません」
配達員は困ったような顔をした。
「では、受取拒否にされますか?」
私はうなずいた。
中身が気にならなかったわけではない。
もしかすると家族が注文したのかもしれない。
誰かからの贈り物かもしれない。
でも、注文した覚えのない荷物へ、その場で6,900円を払う理由はない。
私は受け取らなかった。
配達員が帰った後、家族にも確認した。
誰も注文していない。
私の名前で買い物をした人もいない。
アカウントへ不審なログインがないかも調べた。
注文履歴には、やはり何も残っていなかった。
気味が悪かった。
誰が私の名前と住所を知っているのか。
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