マンションへ戻ったのは、夜の九時を過ぎた頃だった。
その日は来客の予定があり、私は事前にマンションの無料駐車場を予約していた。
区画番号。
利用開始時刻。
翌朝までの利用予定。
管理会社のシステムで、きちんと手続きを済ませていた。
「これで駐車場所を探さなくて済む」
そう安心していた。
ところが、駐車場へ入った瞬間、嫌な予感がした。
予約した区画に、見覚えのない銀色の車が停まっていた。
最初は、自分が場所を間違えたのかと思った。
私はスマホを開いた。
予約画面を確認する。
マンション名。
日付。
時間。
区画番号。
何度見ても間違っていない。
そこは、今夜私が予約している場所だった。
銀色の車は、駐車枠の中に堂々と収まっていた。
フロントガラスに連絡先はない。
住人用の許可証らしき物も見えない。
ハザードもついていない。
運転手の姿もなかった。
私は車の前でしばらく待った。
買い物の荷物を取りに行っただけかもしれない。
誰かを迎えに来て、すぐ戻るのかもしれない。
五分。
十分。
十五分。
それでも誰も来なかった。
その間、私は車を停めることができない。
来客も間もなく到着する。
周辺のコインパーキングを検索すると、近い場所はほぼ満車だった。
空いている所は少し離れていて、翌朝まで停めればそれなりの金額になる。
なぜ、正しく予約した私が自腹で別の駐車場を探さなければならないのか。
怒りが湧いた。
私は管理会社の緊急連絡先へ電話した。
「予約している来客用駐車場に、知らない車が停まっています」
担当者は予約情報を確認した。
「確かに、お客様の予約が入っていますね」
そこまではよかった。
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