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「全湯船が水、料金0円」休業しない銭湯で、店主の一言に怒りが止まった
2026/07/16

「本日、全湯船が水です。それでも営業します」

仕事を終えた私は、その張り紙の前で完全に固まった。

場所は、駅裏にある昔ながらの銭湯。

疲れ切った体を熱い湯に沈めることだけを楽しみに、わざわざ遠回りして来たのだ。

それなのに、全湯船が水。

つまり、お湯は一滴もない。

「いや、それなら休業でしょ」

思わず声が漏れた。

だが、張り紙には続きがあった。

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「本日、入浴料金は頂戴いたしません」

「サウナは通常どおり利用できます」

私はもう一度、最初から読み直した。

営業する。

湯船は全部水。

料金は無料。

サウナだけは動いている。

怒るべきなのか。

笑うべきなのか。

それとも、このまま帰るべきなのか。

意味が分からなかった。

私は念のため、張り紙をスマホで撮影した。

あとで友人に見せても、絶対に信じてもらえないと思ったからだ。

受付へ入ると、白髪交じりの店主が申し訳なさそうに座っていた。

私は靴箱の鍵を握ったまま聞いた。

「本当に、全部水なんですか?」

店主は勢いよく立ち上がり、深く頭を下げた。

「はい。本当に申し訳ありません」

「給湯設備が、夕方に全部止まりまして」

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やはり故障だった。

私は少し呆れながら言った。

「だったら今日は閉めた方がよくないですか?」

すると店主は、しばらく黙った。

そして予想外の一言を口にした。

「毎晩ここへ来る一人暮らしのお客さんが、何人もいるんです」

私は返事ができなかった。

店主は続けた。

「湯に入ることより、ここで誰かと話すことを楽しみにしている方もいます」

「突然閉めると、心配される方もいますし、こちらも顔を見ないと不安になるんです」

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