「息子の家の頭金に500万円出してあげようと思って」
古い友人からそう聞いた時、私は20年以上前の自分を思い出しました。
夫が亡くなった頃、私の手元には約2000万円ありました。けれど73歳になった今、残っているのは180万円ほどです。
浪費したわけではありません。
ほとんどを、息子のために使いました。
最初は「今月ちょっと足りない」と言われて3万円。
次は5万円。
やがて10万円。
これが、私が後悔した1つ目の援助でした。
困るたびに、その場しのぎのお金を渡すこと。
私は息子を助けているつもりでした。でも実際には、「足りなければ母に頼ればいい」という習慣を作っていたのです。
2つ目は、借金の肩代わりでした。
カードや消費者金融などで約200万円の借金があると知り、私はすぐ銀行へ行きました。
「これでやり直せる」
そう思ったのです。
ところが数年後、息子はまた借金を抱えました。
私が借金と一緒に消してしまったのは、失敗に自分で向き合う機会だったのかもしれません。
3つ目は、住まいまで親が整えすぎること。
息子が結婚すると、私はマイホームの頭金として500万円を出しました。
それだけではありません。
家具、布団、家電、孫の用品。
合鍵まで預かり、留守中に夕食を作ることもありました。
ある日、嫁が赤ちゃんを抱きながら小さくつぶやきました。
「この家、本当は私たちの家じゃないみたい」
当時は意味が分かりませんでした。
今なら分かります。
私はお金を出すたびに、若い夫婦が自分たちで家庭を作る余白まで埋めていたのです。
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