朝七時。
まだ空気に夜の冷たさが残る建設現場へ、俺は作業着姿で足を踏み入れた。今日は着工前の最終確認。二十八億円規模のショッピングモール建設という、会社にとっても現場にとっても極めて重要な案件だ。普通なら、担当者が真っ先に駆け寄ってくる。だが、その期待は事務所の前であっさり裏切られた。
「おいおい、そんな汚い格好でここまで来るなよ」
中から出てきた男――担当者の水橋は、俺を見下すように鼻で笑い、追い払うように手を振った。
俺が「本日の最終確認に伺いました」と伝えても、返事は雑で、目も合わせない。
それでも怒鳴り返すことはしなかった。こういう態度を取る相手は、現場では珍しくない。だが、だからといってこちらまで同じ土俵に立つ必要はない。俺は苦笑いを浮かべ、静かに言葉を飲み込んだ。
俺の表向きの顔は、地元で小さな工務店を営む一級建築士だ。高校時代、知人に誘われて大工の手伝いを始め、現場で腕を磨いてきた。
だが本当の顔はそれだけではない。業界でも有数の規模を誇る大手建築メーカーの役員であり、さらにそのグループ全体を束ねる会長・小谷さんのもとで、現場と経営の橋渡しを任されている。
小谷さんは俺の恩師だ。
かつて潰れかけていた工務店を立て直すため、俺はITを使って集客やブランディングを改革し、職人の技術を武器に変える仕組みを作った。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=_D9Q7P0e824,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]