「あの車、見たことない……」
月極駐車場の自分の区画に、知らない軽自動車が停まっていた。
契約しているのは私一人のはずだ。番号札にも、私の車のナンバーが登録されている。それなのに、朝も夜も、見覚えのない白い軽自動車がそこにあった。毎日その駐車場を使って通勤している私にとって、区画が塞がっているかもしれないという不安は、地味に大きなストレスだった。
管理会社に電話すると、担当者は不思議そうに答えた。
「契約者は変わっていませんよ。〇〇様のままです」
それでも、車は次の日も、その次の日も同じ場所にあった。しびれを切らして、私は契約者本人に直接連絡してみることにした。
契約書に書かれていた電話番号にかけると、少し間があってから、男性の声が出た。
「あ……すみません」
その声は、どこか気まずそうだった。
「実は……知人に貸してるんです。月極の料金、折半にしてもらってて」
その一言に、私は言葉を失った。契約書には、又貸しを禁止する条項があったはずだ。私が管理会社と結んでいる契約でも、駐車区画は本人以外が使用してはいけないことになっている。
「規約違反になると思うんですが」
そう伝えると、電話の向こうは黙り込んだ。
私は改めて管理会社に事情を話した。担当者の声色が、明らかに変わった。
「規約違反になりますので、契約者様に確認させていただきます」
電話を切ったあと、なんとなく落ち着かない気分だった。相手を困らせたいわけではなかったが、このまま黙っているわけにもいかなかった。
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