「奥様、申し訳ございません……こちらのカードは現在ご利用いただけない状態です」
病院の会計窓口に響いたその一言で、私の頭の中は真っ白になった。
つい数時間前まで、私は手術室の前で息子の命を必死に祈っていた。高校生の息子・達也が突然激しい腹痛を訴え、救急搬送されたのは深夜のことだった。
ただの腹痛だと思っていた。しかし、医師から告げられたのは、一刻を争う緊急手術の必要性だった。
私は震える手で夫・健一に何度も電話をかけた。
「達也が危ないの……お願いだから出て」
けれど、返ってくるのは無機質な呼び出し音だけだった。
手術室の赤いランプを見つめながら、私は一人で朝を迎えた。父親である健一がそばにいないことが悲しかった。しかし、まさかその裏で、彼が私と息子を見捨てるような行動を取っていたとは、その時の私は知る由もなかった。
手術は無事に成功し、達也が一般病棟へ移された後、私は入院費の支払いをするため会計窓口へ向かった。
財布から取り出したのは、健一名義の家族カードだった。
専業主婦だった私は、生活費のすべてをそのカードで管理するよう健一から言われていた。
「金の管理は俺がする。
お前は俺の稼いだ金で生活しているんだから、無駄遣いするな」
それが健一の口癖だった。
しかし、そのカードは今、ただの使えないプラスチックになっていた。
「限度額ではありません。名義人様から利用停止の申請が出されています」
事務員の言葉に、背筋が凍った。
健一が、意図的に止めた。
しかも、息子が生死をさまよい、最もお金が必要なタイミングで。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=yz9FtIJZtSQ,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]