親友の結婚式に少し遅れて参加した俺は、案内された席に置かれていたものに固まった。黒い額縁に入った、俺の遺影だった。
「なかなか来ないから、サプライズが無駄になるかとハラハラしたわ」
新婦のリナが笑いながら近づいてきた。
「あんたみたいな底辺と、今後も付き合いが続くなんてごめんよ。旦那とは縁を切って、さっさと帰ってちょうだい」
俺は喉の奥で笑い、リナの顔を正面から見た。
「縁を切る、ですか。では健二を首にしてもいいってことですね」
「は?」
俺は浦野、28歳。都内の中小企業を経営している。だが16歳の時は違った。事情があって高校を中退し、実家から追い出された。頼れそうな親戚を訪ねても歓迎されず、都内に出て新聞配達のバイトで暮らした。担当区域の中に、趣味で研究していた分野を扱う小さな会社があり、集金のたびに世間話をしていた社長に、ある日その話をした。
「学歴なんぞ関係ない。うちで働かないか」その場で誘われ、迷わず飛びついた。中卒でスキルもない自分を拾ってくれた恩人だった。基礎から経理まで実地で学び、数年後、社長に背中を押される形で独立して起業した。
健二は高校時代からの幼馴染だ。運動神経抜群でクラスの人気者だった彼が2年前、大企業の経理部で身に覚えのない不正の疑いをかけられ、出世の道を絶たれて落ち込んでいた時、俺は自分の会社に誘った。
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