妻が里帰り出産で実家へ戻ってから、1年半が過ぎていました。
私は33歳。妻は31歳。結婚5年目に、待望の第一子が生まれました。
本来なら、産後2か月ほどで帰ってくる予定でした。
ところが3か月を過ぎても、
「まだ育児に自信がない」
「もう少し実家にいさせて」
と言われ続けました。
最初は妻の体調を心配して待ちました。
しかし半年、1年と過ぎても戻ってきません。
私が会いに行こうとすると「今日は都合が悪い」。
写真や動画は送ってくるのに、ビデオ通話は断られる。
やがて私は、送られてくる写真の背景が妻の実家ではないことに気づきました。
そして決定的だったのが、妻が娘を抱いている1枚の写真でした。
鏡の奥に、見知らぬ男が映っていたのです。
地元の友人に確認を頼むと、妻はその男と娘を連れて買い物をしていました。
男は妻の高校時代の元彼。
私は弁護士へ相談し、調査を依頼しました。
妻と元彼は週に3~4回会い、元彼の部屋にも頻繁に出入りしていました。
証拠が揃った日、私は予告せず妻の実家へ向かいました。
妻は1人で帰ってきました。
娘はどこにいるのか尋ねると、
「友達に預けてる」
と答えます。
「元彼のこと?」
その瞬間、妻と義母の顔が固まりました。
私は写真を見せ、離婚する意思を伝えました。
すると妻は突然、別の事実を口にしました。
「実は、この子……あなたの子じゃない可能性があるの」
妊娠が判明する2か月ほど前、地元の同窓会で元彼と再会し、その頃から関係があったというのです。
私はDNA鑑定をすることにしました。
結果が届くまでの2週間は、何を信じればいいのか分からない時間でした。
そして封筒を開くと、
親子関係あり。
娘は私の子でした。
安堵しました。
けれど、妻の裏切りが消えるわけではありません。
その後、離婚手続きを進め、私は娘との生活を始めました。
まだ1歳半。
仕事と育児の両立は簡単ではありません。
それでも両親にも助けてもらいながら、娘は元気に育っています。
1年半もの間、私は「妻を信じること」と「違和感から目をそらすこと」を同じものだと思っていました。
でも違いました。
あの鏡に映った男を見過ごさなかったことで、私はようやく娘の父親として、自分の人生を取り戻すことができたのです。