「悪いんだけど、また3万円貸してもらえないかな」
息子からの電話は、いつも同じ言葉で始まった。
35歳になる息子は、離婚してから非正規の仕事を転々としている。
月に一度、決まって生活費の相談の電話がかかってきた。
「今月はさすがに厳しいんだけど、何に使うんだ」
私がそう聞いても、息子は「生活費だよ」とだけ答えてはぐらかした。
妻は「困ってるんだから仕方ない」と、いつも先に送金してしまう。
私はそのたびに、複雑な気持ちを抱えていた。
本当に生活のためなのか、それとも別の何かなのか。
半年ほど前から、渡す金額は少しずつ増えていた。
ある晩、通帳を見ていた妻が「これ、何かしら」とつぶやいた。
息子への送金とは別に、毎月決まった額が別の口座へ引き落とされていた。
「まさか、ギャンブルか何かじゃないだろうな」
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