「うちも余裕ないから、それは無理だな」
夫はスマホから顔も上げずに、そう言った。
父が入院し、当面の費用について相談した直後のことだった。
「でも、あなたお義母さんには毎月5万円送ってるよね」
私がそう言うと、夫は初めて顔を上げた。
「それとこれとは話が別だろ」
別だと言われても、私にはその違いがよく分からなかった。
夫の母への仕送りは、結婚したときからずっと続いている。
私の実家には、お中元やお歳暮以外、特に何もしてこなかった。
「父の入院費、全部は無理でも、少しだけでも」
そう食い下がると、夫は面倒そうにため息をついた。
「うちだって、そんなに余裕あるわけじゃないんだよ」
その一言で、私は口をつぐんだ。
その夜、私は久しぶりに家計簿アプリを開いた。
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