朝7時半。
仕事へ行こうと駐車場に出た私は、車の前で妙な違和感を覚えた。
右前輪のすぐ手前に、銀色の細い物が見えたのだ。
しゃがんで確認した瞬間、背筋が冷えた。
ネジだった。
しかも偶然落ちているような向きではない。
タイヤが前へ動けば踏みやすいように、先端を斜め上へ向けた状態で置かれていた。
「これ……わざと?」
私は絶対に車を動かさなかった。
素手でネジにも触れず、まずスマホで撮影した。
タイヤとの位置関係。
ネジの向き。
駐車スペース全体。
時間が分かる画面も残した。
実は数日前から少し気になることがあった。
夜になると駐車場付近を何度も行き来する人物がいたのだ。
ただ、それだけで誰かを疑うつもりはなかった。
だから私は決めつけず、その場で警察へ相談した。
到着した警察官もタイヤの前を確認すると、
「車はまだ動かしていませんね?」
と聞いた。
「はい。気づいてから一度も動かしていません」
そう答えると、周辺の状況とネジについて確認が始まった。
そして私は、もう1つ伝えた。
「この駐車場、防犯カメラがあります」
建物の入口と駐車場を映すカメラが2台設置されていた。
管理会社にも事情を説明し、必要な手続きを踏んだうえで映像を確認してもらうことになった。
その日の夕方。
管理会社から電話が来た。
「昨夜の映像に、車の前で立ち止まっている人物が映っています」
私は息をのんだ。
映像には深夜0時過ぎ、駐車場へ入ってくる人影。
私の車の前で一度しゃがみ込み、数秒後に立ち上がる様子まで残っていたという。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください