「これ……普通に危なくない?」
姉が住んでいるアパートを訪れた日のことでした。
何気なく建物を外から見上げた私は、ある場所で視線が止まりました。
それは2階のベランダ。
最初は「少し古くなっているだけかな」と思いました。
でも、よく見ると様子がおかしい。
ベランダの外側の部分が大きく傷んでいて、表面が剥がれています。
一部には亀裂のようなものも見えました。
「え……これ、2階の人は気づいてるのかな?」
私は思わず姉に声をかけました。
「このベランダ、前からこんな状態だった?」
姉は驚いた顔をしました。
「え?全然気にしたことなかった」
考えてみれば当然かもしれません。
毎日その部屋で生活している人ほど、普段見えない場所の変化には気づきにくいものです。
特にベランダの外側や下部分は、部屋の中から確認することができません。
洗濯物を干す時も、床や手すりを見るだけ。
外壁の裏側までは見えません。
しかし、1階に住む姉の立場からすると、少し違いました。
もし上の階の一部が落下したら?
もし強風の日に破片が飛んできたら?
もし小さな劣化が進んでいたら?
考えるほど不安になりました。
写真を撮って、姉と一緒に管理会社へ連絡することにしました。
「2階のベランダ部分ですが、外から見るとかなり傷んでいるように見えます」
担当者に写真を送ると、すぐに確認するとの返事。
数日後、業者の点検が入りました。
すると、住民が普段見ることのできない場所に、劣化の進行が確認されたそうです。
外壁やベランダ周辺は、雨風にさらされ続けるため、年数が経つと見た目以上に傷んでいることがあります。
特に危険なのは、「まだ大丈夫」と思って放置してしまうこと。
外から見える小さなひび割れが、内部の劣化につながっている場合もあります。
今回、姉の部屋は大きな事故になる前に確認できました。
姉も、
「毎日住んでいるからこそ、逆に気づかなかった」
と言っていました。
もし私がたまたま下から見上げていなかったら。
もし写真を撮らずに「古い建物だから仕方ない」と流していたら。
その後どうなっていたかは分かりません。
建物の異変は、住んでいる本人よりも、第三者の目で初めて気づくことがあります。
ベランダの裏側。
外壁の小さな傷。
普段見えない場所ほど、実は注意が必要なのかもしれません。
今回の出来事をきっかけに、姉のアパートでは建物全体の点検が行われることになりました。
「まさか自分の住んでいる場所が…」
そう思う前に、一度外から建物を見ることの大切さを感じた出来事でした。