「怖すぎて、家の中に入れませんでした」
台風の雨が激しくなった夜、私は雨漏りしていないか確認するため、一度家へ戻った。
玄関までは、いつもと変わらなかった。
けれど建物の横を回り、窓を見た瞬間、足が止まった。
ガラスが、バキバキに割れていた。
雨粒のついた窓一面に細かい亀裂が走り、中央付近には明らかに大きく割れた跡がある。
最初は台風のせいだと思おうとした。
強風で何かが飛んできたのかもしれない。
そう考えれば、まだ怖くなかった。
でも、すぐに別の出来事が頭に浮かんだ。
少し前、この家に設置していた防犯カメラが壊されていたのだ。
その時も「たまたまかもしれない」と自分に言い聞かせた。
誰かのいたずらなのか。
故障なのか。
確かなことは何も分からなかった。
ところが今度は窓ガラス。
しかもタイミングは台風の夜だった。
「これ、本当に偶然なの……?」
背中が一気に冷たくなった。
私は玄関の鍵を握ったまま、ドアを開けることができなかった。
もし誰かが中にいるとしたら。
もし窓を割って侵入されていたとしたら。
そう考え始めると、確認するために1人で入るという選択肢は消えた。
私は少し離れた場所まで移動し、警察に連絡した。
「以前、防犯カメラが壊されていて、今日戻ったら窓まで割れているんです」
これまで起きたことを、できるだけ順番に説明した。
警察が到着するまでの時間が、異様に長く感じた。
雨音がするたび振り返った。
車が通るだけでも心臓が跳ねた。
やがて警察官が到着。
私は割れた窓、防犯カメラが壊された時期、不審に感じていた出来事について説明した。
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