正直に言うと、最初は少し身構えていました。
ラーメン屋の店内で並んでいた時のことです。
目の前にいたのは、明るい髪色の子どもたちと、そのお母さん。
見た目だけで判断してしまった自分がいました。
「ちょっと騒がしい家族なのかな」
そんな先入観を持ってしまったのです。
しかし、その数分後。
私の考えは完全に変わりました。
食券を買うために並ぶ列。
子どもたちは少し横に広がって待っていました。
他のお客さんが通りにくそうにしていることに気づいた瞬間、お母さんがすぐに声をかけました。
「あんたら、こっちに寄りなさい!邪魔になるでしょ!」
怒鳴りつけるような感じではありませんでした。
周りを見ること。
他の人の迷惑にならないこと。
それを子どもたちに教えている声でした。
子どもたちはすぐに位置を直しました。
その姿を見て、私は少し驚きました。
見た目だけで勝手に決めつけていた自分が恥ずかしくなりました。
そして食事を終えた後。
さらに驚く出来事がありました。
会計を済ませたお母さんが、子どもたちに言いました。
「はい、何て言うの?」
すると3人の子どもたちは、店内に響くくらい大きな声で、
「ごちそうさまでした!!」
と言ったのです。
厨房にいた店員さんも、一瞬驚いた表情をしました。
でもすぐに笑顔になり、
「ありがとうございました」
と返していました。
小さな子どもが、大きな声で感謝を伝える。
それだけのことなのに、なぜか店内の空気が温かくなりました。
私は最初、髪色や服装だけを見て判断していました。
でも、本当に見るべきだったのはそこではありませんでした。
子どもがどう育っているか。
親が何を教えているか。
その一瞬の行動に、その家庭の日常が表れていました。
帰り際、お母さんは子どもたちに何も言わず、当たり前のように歩いていきました。
でも私は、その背中を見ながら思いました。
「人は本当に見た目だけでは分からない」
そして、自分自身の偏見にも気づかされた出来事でした。
あのラーメン屋で聞いた3人の「ごちそうさまでした」は、今でも忘れられません。