姑の退院が決まったと病院から連絡があったのは、秋の終わりのことだった。
私は受話器を握ったまま、しばらく言葉を失っていた。
正直に言えば、ようやくここまで来た、という安堵と同時に、「これからどうするのか」という現実が重くのしかかってきたからだ。
姑はここ数年、いわゆる“まだら認知症”の状態だった。
はっきりしている時は普通に会話もできるのに、突然、時間や場所が分からなくなり、怒鳴ったり、物を探し回ったりする。医師からも、「ご家庭だけでの介護はかなり負担が大きい」と何度も説明を受けていた。
だから私と夫は、退院後はそのままホームへ転院するのが最善だと考えていた。
夫も同意してくれていたし、私自身も仕事と家事をしながら、これ以上一人で背負うのは無理だと分かっていたからだ。
ところが、その話を聞きつけた義姉が、強く反対してきた。
「そんなの可哀想じゃない!」
電話越しに、義姉は泣き声で訴えてきた。
「お母さんはずっと家族のために生きてきたのよ?最後くらい、家で寝かせてあげてよ」
私は一瞬、言葉に詰まった。
義姉は結婚して車で一時間ほど離れた場所に住んでいる。これまで姑の通院付き添いや身の回りの世話をしてきたのは、ほとんど私だった。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=geiUVA4A8IE&pp=0gcJCaIKAYcqIYzv,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]