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100円を握りしめて訪れた兄弟に温かいお風呂に入れてやった銭湯のおじいちゃん。15年後、青年がとんでもない行動を起こした。
2026/05/17

商店街のはずれに、古い銭湯「松の湯」があった。
暖簾は色あせ、木の戸は少しきしみ、煙突から上がる白い湯気だけが、昔と変わらず町の空に溶けていた。
その銭湯を一人で守っていたのが、松井庄一という老人だった。

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三年前に妻を亡くしてから、庄一の毎日は静かだった。
朝、浴槽を磨き、薪を確認し、番台に座る。
客は年々減り、商店街の明かりも一つ、また一つと消えていった。
それでも庄一は店を閉めなかった。
「ここが温かい場所であるうちは、まだ続けられる」
亡き妻の写真に、そう語りかけるのが日課になっていた。
ある真冬の夕方だった。

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雪まじりの風が戸口を叩く中、銭湯の引き戸が小さく開いた。
そこに立っていたのは、八歳ほどの少年と、まだ五歳くらいの弟だった。
二人とも薄い服を着て、手足は赤く、唇は紫色に震えていた。

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