届いた一本のムービーが、すべての始まりだった。
「参加者ゼロ人の気分はどう?」
スマホの画面の中で、鼻にかかった声でそう言い放つ女。
その背後では、見覚えのある顔がずらりと並び、まるで宴会のように笑っていた。
――娘の結婚式を、同僚たちが全員でドタキャンしたのだ。
しかも、わざわざ動画まで送ってきて。
その瞬間、頭の中が真っ白になった。
怒りで拳が震える。
けれど、隣で小さくつぶやいた娘の声に、私は我に返った。
「パパ、ママ……ごめんね」
振り向くと、純白のドレスを着た娘――菜七子が、今にも泣き出しそうな顔で立っていた。
人生で一番幸せなはずの日。
それを台無しにされたのは、私たちではなく、この子だ。
胸が締め付けられる。
すると、隣にいた夫・聡が、静かな声で言った。
「……五十人、全員クビにするわ」
その言葉は、驚くほど落ち着いていた。
私は思わず夫の顔を見る。
聡は、怒りを表に出す人ではない。
だが本気で怒った時ほど、声が低くなる人だ。
「今の動画、リアルタイムじゃない。もう終わってる」
夫はスマホの画面を見つめながら言った。
つまり――
あの人たちはまだ知らない。
自分たちが笑いものにした新婦の父親が、
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=YMHkKLGwEYA,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]