「小銭くらいで威張らないでください」
長男の嫁・智子にそう言われた瞬間、私は胸の奥で何かが静かに切れた。
その“小銭”が、毎月二十五万円の住宅ローンだと知っていてなお、彼女は鼻で笑ったのだ。
さらに隣で腕を組んでいた長男・孝介まで、せせら笑うように言った。
「そんなに偉そうにしたいなら、支払い止めてみろよ。どうせ母さん一人じゃ生きていけないんだから」
私は七十八歳。十年前に夫を亡くし、今は長男夫婦と同居していた。
けれど、その日を境に私は“母親”であることをやめた。
「ええ、喜んで」
私は笑顔で答えた。
それが、長男夫婦の人生が崩れ始めた瞬間だった。
もともと住んでいた家は、夫が遺してくれた古い一軒家だった。
夫が生きていた頃は慎ましくも穏やかな家庭だったが、亡くなってから長男夫婦の金遣いは一気に荒くなった。
欲しいと思えば値札も見ずに買う。ブランド品、最新家電、高級外食。
私が注意しても、孝介は不機嫌そうに吐き捨てるだけだった。
「俺は母さんと違って稼いでるんだよ」
そんなある日、二人は突然こう言い出した。
「家を全面リフォームして、二世帯住宅にしよう」
私は水回りの改修程度だと思っていた。ところが話はどんどん膨らみ、二階にキッチン、風呂、トイレまで新設する大工事になった。
総額三千万円。
私は反対した。三人暮らしでそこまで必要ない。そもそも智子が料理をしている姿など、一度も見たことがなかったからだ。
しかし二人は聞く耳を持たなかった。
「別々なら家事もちゃんとしますから」
その言葉を信じた私が愚かだった。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=WHx8h3F0pU0&pp=ugUEEgJqYQ%3D%3D,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]