「一度でいいから、孫の顔が見たい」
父がそう口にするたび、私は胸の奥をそっと握られるような気持ちになった。
病室の白い天井を見上げながら、父は何度も同じ願いを繰り返した。声は日に日に細くなっていったが、その言葉だけは不思議なほどはっきりしていた。
父は昔から、不器用な人だった。
愛しているとも、ありがとうとも、面と向かって言うことはほとんどない。仕事に追われ、家では黙って新聞を読み、私が反抗期で口をきかなくなっても、ただ遠くから見守るだけだった。
そんな父を、私は冷たい人だと思っていた。
けれど、自分が親になって初めて分かった。
父は言葉にできなかっただけだったのだ。
私の子どもが生まれた時、父は誰よりも喜んでいた。写真を送ると、すぐに既読がついたのに返信は短い。
「元気そうだな」
たったそれだけ。
でも母から聞いた話では、父はその写真を何度も何度も拡大して眺め、親戚にまで見せていたらしい。
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