「これ、何の紙?」
洗濯をしようと夫のズボンのポケットを確認したとき、くしゃくしゃに丸められた1枚の紙が出てきた。
広げると、そこには「8月30日 5時27分」「201号室」「お預かり分5900円」と印字されていた。
部屋番号と早朝の時刻。
どう見ても、普通の飲食店の領収書には思えない。
その日の朝、私が6時に起きたとき、夫は隣の部屋で寝ていた。けれど、何時に帰ってきたのかは覚えていなかった。
胸の奥に嫌な疑いが広がった。
帰宅した夫に紙を見せると、夫は眉をひそめた。
「何これ?全然覚えてない」
しばらく考えた後、夫は自分が経営する飲食店の床に落ちていて、閉店後の掃除中に拾ったのかもしれないと言った。
「だったら、どうしてゴミ箱に捨てなかったの?」
私が静かに尋ねると、夫は答えに詰まった。
「あとで確認しようと思って、ポケットに入れたんだと思う」
“思う”ばかりで、はっきりした説明はない。
私は大声で責めなかった。
その代わり、紙を写真に撮り、印字された時刻と夫の行動を確かめることにした。
店の営業記録を見ると、その日は深夜まで貸し切りの宴会が入っていた。夫が帰宅したと話していた時刻は、午前5時50分ごろ。
空白の20分が気になった。
翌日、私は夫と一緒に店へ行き、防犯カメラを確認した。
映像を午前5時まで戻すと、夫は厨房で一人、洗い物をしていた。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください