シルバーウィークの大混雑。
家族旅行で乗った新幹線で、私は少しだけ不安を抱えていました。
指定席を取るために駅の窓口へ行き、係の方に発券してもらったところ――
「お母さんと息子さん、席が離れてしまいますね」
と言われました。
見ると、7歳の息子の席は2人掛けの通路側。
そして私は、同じ列の3人掛けの真ん中。
隣同士ではありませんでした。
本当なら並んで座りたかった。
でも、シルバーウィークの新幹線は満席状態。
変更できる席もなく、そのまま乗ることにしました。
正直、少し心配でした。
息子は普段から騒ぐタイプではありません。
電車に乗ると本を読んだり、窓の外を眺めたりして静かに過ごせる子です。
「大丈夫だよ」
そう言う息子の顔を見て、私も信じることにしました。
しかし、発車してからしばらくは気になって仕方ありませんでした。
同じ車両内とはいえ、少し離れた場所。
何か困っていないかな。
隣の人に迷惑をかけていないかな。
私は何度も後ろを振り返りながら様子を見ていました。
そして発車から約40分。
その時でした。
息子が突然、本を閉じて席を立ったのです。
「え?どうしたの?」
私は一瞬、何かあったのかと思いました。
トイレ?
気分が悪い?
それとも、隣の人と何かトラブル?
心配しながら見ていると、息子は自分の席の後ろに座っている男性のところへ向かいました。
そして、小さな声でこう言ったのです。
「すみません。席を倒してもいいですか?」
その瞬間、私は言葉を失いました。
7歳の子どもが。
自分から後ろの人に声をかけている。
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