「警察から連絡が来ています」
その言葉を聞いた瞬間、私はスマホを握ったまま黙り込んだ。
理由は分かっていた。
自分の車だった。
オレンジ色の古いトヨタのバン。
写真を見ると、確かに車体の一部が道路側にはみ出していた。
「これは私が悪い」
最初にそう思った。
警察の方にも感謝している。
毎日地域の安全を守ってくれていることは分かっている。
反則金も当然払うつもりだった。
言い訳をする気もなかった。
法律上、問題があるなら直す。
それが当たり前だと思っていた。
実は以前にも、一度注意を受けたことがあった。
その時から、私は停める場所を変えた。
建物の裏にある駐車場。
車庫証明もそちらで取っている正式な場所だった。
「もう同じことは繰り返さない」
そう決めていた。
しかし、ある日。
また通報された。
私は驚いた。
「え?また?」
もちろん、自分が完璧だったとは思わない。
車の位置によっては、知らないうちに誰かに迷惑をかけていた可能性もある。
だから一度、自分の目で確認した。
道路幅。
車の位置。
周囲の通行状況。
何度も写真を撮って見直した。
すると、ある違和感に気づいた。
私が気になったのは、通報されたことではなかった。
「困っているから連絡する」
それなら理解できる。
でも近所では、以前からある話が出ていた。
「少しでも車が線から出ていると、すぐ連絡する人がいるらしい」
もちろん、違反は違反。
そこに変わりはない。
しかし、近所で暮らしていくには法律だけでは解決できないこともある。
「注意する前に、一言声をかけることはできなかったのかな」
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