相続で受け継いだ山林の土地を見に行った日、私は車を降りたまま言葉を失った。
そこにあるはずだったのは、草木が伸び放題の小さな山林だった。父から「遠いし、使い道もない土地だ」と聞かされていた場所。ところが目の前に広がっていたのは、きれいに砂利が敷かれた駐車場だった。
草木は抜かれ、地面はならされ、一部にはコンクリートまで打たれている。
端には知らない車が1台停まっていた。
「誰が、いつ、こんなことを……」
私は怖くなった。家族にも親戚にも確認したが、誰も知らないと言う。しかも2023年の航空写真には、まだ山林のまま映っていた。つまり、ここ数年の間に誰かが勝手に手を入れたことになる。
怒りで近くの家に聞いて回りたくなったが、私はまず写真を撮った。土地全体、砂利、コンクリート、車のナンバー、周囲の道。続けて、登記簿、固定資産税の通知書、相続時の書類、2023年の航空写真を全部そろえた。
翌日、市役所に相談し、さらに知人の紹介で弁護士にも話を聞いた。
「まずは所有者である証拠と、いつから状態が変わったかの資料を残してください。
勝手に相手を責める前に、事実確認です」
その言葉で、私は冷静になった。
数日後、現地で張り込みまではしないものの、昼間にもう一度確認へ行った。すると、近くの作業服姿の男性が車を停めに来た。
「すみません。ここ、どなたの駐車場ですか?」
私が声をかけると、男性は不思議そうに言った。
「え?あそこの業者さんが借りてるって聞いてますけど」
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