「またかよ……」
8月11日、山の日の朝。
現場へ向かう前に、いつも通り借りている駐車場へ車を入れようとした瞬間、私はハンドルを握ったまま固まった。
私が契約している駐車枠に、見覚えのない黒いミニバンが堂々と停まっていた。
最初は場所を間違えたのかと思った。
でも、何度見てもそこは私の契約区画。
昨日まで普通に停めていた場所だ。
「なんで他人の車がいるんだよ……」
祝日の朝で、管理会社にすぐ連絡がつくかも分からない。
現場の時間も迫っている。
私は仕方なく、その場で写真を撮った。
ナンバー、車種、停車位置。
自分が借りている駐車場だと分かるように、周囲も写した。
腹は立った。
でも、そこで怒鳴っても車は動かない。
持ち主もいない。
結局、私は近くのコインパーキングを探して、1日800円の駐車場に自分の車を停めた。
たった800円。
そう言われれば、それだけの話かもしれない。
でも問題は金額だけじゃない。
自分が毎月お金を払っている場所を、知らない誰かに勝手に使われた。
そのせいで朝から予定が狂い、現場へ向かうまでずっと気分が悪かった。
仕事中も、ふとした瞬間に思い出す。
「まだ停まってるのかな」
「帰る頃には動いてるのかな」
「また明日も停められたらどうする?」
そう考えるだけで、胸の奥がザラついた。
夕方、仕事を終えて駐車場へ戻ると、黒いミニバンはまだそこにあった。
さすがに我慢できず、管理会社へ連絡した。
「私の契約している区画に、朝から無断で車が停まっています」
写真も送った。
契約区画の番号。
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