「720万3,298円……?」
封筒から出した通知書を見た瞬間、私はしばらく数字の意味が理解できなかった。
美容室を経営している私のもとに届いたのは、「保険料納入告知額・領収済額通知書」。
そこに並んでいたのは、
健康保険料 2,655,856円
厚生年金保険料 4,459,710円
子ども・子育て拠出金 87,732円
合計、7,203,298円。
思わず電卓を取り出した。
何度足しても同じ。
「……720万円?」
しかも今は繁忙期ではない。
美容室は閑散期。
予約表には空白が目立ち、スタッフのシフトを調整しながら、広告費や材料費、家賃、光熱費まで1円単位で見直していた時期だった。
そんな中で届いた720万円超の通知。
私は事務所の椅子に座ったまま、しばらく動けなかった。
スタッフを雇う以上、社会保険料が必要なのは分かっている。
従業員を守る制度であることも理解している。
だから今まで一度も「払いたくない」なんて言ったことはなかった。
でも現実は厳しい。
売上が落ちる月でも、固定費は待ってくれない。
家賃も給料も材料代も、そして社会保険料も。
翌朝、経理担当が青ざめた顔で言った。
「先月も700万円超えてます……」
通知を見ると、前月の領収済額は7,024,614円。
2か月続けて700万円台。
私は思わず額に手を当てた。
「これ、売上じゃないよね?」
冗談のつもりだったが、誰も笑わなかった。
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