我が家の線路際にある広大な畑は、祖父母が長年、丹精込めて耕してきた場所だ。ところが少し前、新型車両が導入されるや否や、そこは「撮り鉄」たちの無法地帯と化した。彼らは線路の向こう側に広がる我が家の空き地に勝手に車を停め、祖父母の畑に土足で踏み入り、レンズを向けるようになったのだ。
有志とともに鉄線で畑と空き地の入り口を封鎖したが、彼らはその鉄線を平然と切断し、撤去して侵入を繰り返した。
祖父母の悲しむ顔を見るのはもう限界だった。「重機で深い穴を掘ろうか」とも考えたが、レンタル料を払ってまで彼らのために手を汚すのは馬鹿らしい。そこで私は、低予算で最大限の「おもてなし」をする計画を立てた。
まず、近隣の養豚業者から無償で譲り受けた大量の堆肥をトラック三台分調達し、空き地一面に敷き詰めた。周囲に民家はないため、異臭で苦情が出る心配もない。さらに、空き地の入り口付近を数日かけてクワで念入りに耕し、幅2メートル、深さ50センチほどの「柔らかい泥地」を作り上げた。
そして運命の週末。彼らがやってくる朝を狙い、耕した場所にたっぷりと水を撒き、その上をカモフラージュのための不用土で軽く覆った。
見た目は乾燥した平坦な地面だが、一歩足を踏み入れれば、そこは底なし沼の入り口である。
準備は整った。その日の夜、私は期待を胸に現場へ向かった。 視界に飛び込んできたのは、期待通りの光景だった。一台の乗用車が、フロント部分を泥に突き刺し、無残にも前のめりに沈み込んでいた。
私はその姿を一人で見届けた。誰にも言えず、誰にも共有できないが、胸の奥で高笑いしたくなるような爽快感があった。
彼らは不法侵入という後ろめたい行為をしている以上、警察を呼ぶことなどできるはずもない。レッカー車さえも入れないほどのぬかるみだ。
翌日には、車は跡形もなく消えていた。どのようにして脱出したのか、あるいは何台の車が汚物にまみれたのかは定かではないが、それ以来、畑にカメラを持って侵入する輩は激減した。
今では、祖父母がその堆肥を土に混ぜ込み、かつて彼らが踏み荒らした土地で元気に野菜を育てている。
泥と糞にまみれた記憶も、豊かな収穫をもたらす土壌の一部に変わったと思えば、これほど痛快なことはない。
不法侵入を繰り返した報いとして、泥の中に沈んだ車と、彼らが流したであろう冷や汗。それこそが、我が家が撮り鉄たちへ贈った最高の記念撮影だったのではないだろうか。不法侵入者は二度と戻ってこない。私たちの畑には、今日も平和な日常が流れている。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=duzGriIXuWw,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]