「柴田、この航空券とVIPチケットは絶対に妻には見せるなよ」
豪邸の広間に、康介の高圧的な声が響き渡った。
「俺はニューヨークへの重要なビジネス出張ということにして、里奈とアメリカでワールドカップを観るんだ。あの女には一生この家で留守番でもさせておけばいい」
長年この家に仕えてきた執事の柴田は、表情を変えず静かに一礼した。
しかし、その会話を扉の向こうで聞いていた人物がいた。
私、小百合だった。
今年で52歳。
康介とは25年間、夫婦として過ごしてきた。
彼は現在、年商50億円を誇る不動産会社の社長。
だが、その会社の基盤を築いたのは、亡き父だった。
康介はもともと父の会社に入社した一社員に過ぎなかった。
父が彼の人当たりの良さを気に入り、私との結婚を勧めた。
そして父が亡くなった後、康介は当然のように社長の椅子に座った。
その瞬間から、彼は変わった。
「会社を大きくしたのは俺の力だ」
そう信じ込み、私への態度も次第に冷たくなっていった。
「このお茶、ぬるいな」
「毎日この家で何をしているんだ?」
「お前みたいな何の取り柄もない女は、粗大ゴミと同じだ」
何度も浴びせられた言葉。
それでも私は反論しなかった。
なぜなら、ただ耐えていたわけではない。
すべて記録していたからだ。
康介が会社の金を使い、愛人の里奈に高級マンションを買い与えたこと。
ブランド品を大量に贈っていたこと。
経費を不正利用していたこと。
すべて証拠として残していた。
そして今朝。
康介は高級スーツケースを持ち、楽しそうに家を出ようとしていた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=vnN-UAvE1AI,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]