「お子さんが暴れてガラスを割りました。すぐに学校まで来てください」
平日の昼下がり、見知らぬ番号からかかってきた電話に出た私は、しばらく言葉を失った。
「申し訳ありませんが、うちの息子は三年前に亡くなりました」
そう答えると、電話口の教師も息をのんだ。
「え……蓮君のお母様で間違いありませんよね?」
その名前を聞いた瞬間、私の手からスマホが滑り落ちそうになった。
蓮。
三年前、夫の直也から「川に流されて亡くなった」と告げられた、私の大切な一人息子だった。
私は二十六歳で直也と結婚し、翌年に蓮を産んだ。
直也は育児にも協力的で、休日には蓮を公園や動物園へ連れて行き、私が疲れている時には「少し休んでいて」と優しく声をかけてくれた。
あの頃の私は、本当に幸せだった。
けれど、蓮が五歳になった頃から直也は変わった。
帰宅は遅くなり、休日も出張だ、接待だと言って家を空けるようになった。
スーツからは知らない甘い香水の匂いがし、スマホは肌身離さず持ち歩くようになった。
問い詰めると、彼は怒鳴った。
「俺を疑うのか。神経質すぎるんだよ」
私は幼い蓮のために、家庭を壊すことを恐れて黙った。
そんな時、私に病気が見つかった。
手術が必要となり、入院することになった私に、直也は珍しく優しく言った。
「蓮のことは俺に任せろ。安心して手術を受けてこい」
私はその言葉を信じた。
しかし手術から二日後、直也から震える声で電話があった。
「蓮が亡くなった」
川釣りに連れて行き、目を離した隙に流されたという。
しかも葬儀も火葬も、私に知らせる前に済ませたと言われた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=iMBAMYmPCiA,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]