「奥様が自宅で亡くなりました」
夫の秀一と温泉旅行に来ていた夜、彼のスマホに警察から突然電話が入った。
隣にいた私は、漏れ聞こえたその言葉に耳を疑った。
奥様とは、私のことのはずだった。
けれど私は今、夫のすぐ横にいる。
「私はここにいるのに……」
そう思って秀一を見た瞬間、彼の顔から血の気が引き、まるで氷のように固まった。
その反応を見た時、私は直感した。
この人は、何かを隠している。
私が秀一と結婚したのは二十七歳の時だった。
翌年には娘のまゆが生まれ、慣れない育児に泣きそうになる私を、秀一はいつも支えてくれた。
「博美、完璧じゃなくていいんだよ」
その言葉に何度救われたかわからない。
娘が小学生になる前には念願のマイホームも購入した。
秀一はインテリアにこだわり、リビングには大きなシャンデリアまで取り付けた。
最初は派手すぎると思ったが、家族三人で過ごすその部屋は、私にとって大切な幸せの象徴だった。
しかし、まゆが高校三年生になった頃から、秀一は変わった。
残業だ、接待だと言って帰宅は深夜になり、娘の進路について相談しても、面倒くさそうにため息をつく。
やがて、まゆが大学進学で家を出ることになった。
私は最後の思い出に家族旅行を提案したが、秀一は前日になって休日出勤だと言い出した。
キャンセル料の話をすると、彼は財布から札を抜き、私に投げつけた。
優しかった夫とは別人だった。
春になり、娘が家を出ると、家は急に静かになった。
寂しさを紛らわせるため、私は小さなトイプードルのモコを迎えた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=puzRjinK_YI,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]