突然、二階の部屋から「ガシャーン!」という音が響いた。
最初は、誰かが石でも投げ込んだのかと思った。急いで部屋へ向かうと、窓ガラスは大きく割れ、カーテンの隙間から冷たい風が吹き込んでいた。
「誰がこんなことを……」
怒りで頭に血が上りかけた、その瞬間だった。
床の隅に、大きな鳥が倒れていた。茶色い羽、鋭いくちばし、ぐったりした体。
思わず私は叫んだ。
「大丈夫かワレぇー!!」
犯人探しどころではなかった。割れたガラスの破片が床一面に散らばり、その中で鳥はかすかに胸を上下させていた。死んでいるのかと思ったが、よく見るとまぶたが少し動いている。
慌てて近づこうとした私を、夫が止めた。
「素手で触るな。ケガしてるかもしれないし、こっちも危ない」
確かにその通りだった。私は厚手の手袋と段ボール箱を用意し、鳥の周りのガラスを慎重に避けた。夫は窓に近い場所をタオルで覆い、私はスマホで市の野生動物相談窓口を調べた。
電話口の担当者は落ち着いた声で言った。
「猛禽類の可能性があります。無理に水や餌を与えず、暗く静かな箱に入れて、近くの動物病院へ相談してください」
その言葉通り、私たちは鳥をそっと箱に移した。驚いたことに、鳥は一度だけ目を開けた。鋭い目だった。でも、どこか助けを求めているようにも見えた。
ところが、騒ぎを聞きつけた近所の人が玄関先に集まり始めた。
「空き巣じゃないの?」
「誰かに恨まれてるんじゃない?」
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