1995年12月24日、東京郊外は記録的な寒波に包まれていた。
クリスマス・イブの夜、雪は容赦なく降り続き、児童養護施設「ひだまりの家」の前は白一色に染まっていた。
その静寂を破るように、一台の古びたトラックがゆっくりと停まる。
運転席から降りた男は、痩せこけた顔をしていた。
北川浩二。
かつては小さな会社を経営し、家庭を支えていた男だった。
しかし今の彼には、かつての面影はほとんど残っていない。
借金、裏切り、そして妻の死。
すべてが彼を壊していた。
助手席のドアが開かれ、冷たい風が車内へと流れ込む。
毛布にくるまれた二人の幼い子供。
三歳の双子——悠人と美緒。
互いの腕を強く握りしめたまま眠っていた。
北川は震える手で二人を抱き上げ、地面へと降ろした。
「ここにいれば……きっと、生きていける」
そう呟いた声は、雪に消えた。
目を覚ました悠人が父のコートを掴む。
「……!」
しかし次の瞬間、北川はその小さな手を振りほどいた。
そして、トラックへと走るように戻る。
エンジン音が鳴り響く。
ヘッドライトが雪を裂き、やがて闇へと消えていく。
残されたのは、二人の幼子と、凍える夜だけだった。
その瞬間だった。
悠人のポケットから、何かが滑り落ちる。
銀色に光る欠片。
それは“龍”が刻まれた半分の首飾りだった。
同時に、美緒のポケットからも同じものが落ちる。
もう半分の“鳳凰”。
二つは雪の上で静かに輝いていた。
まるで、離れてもなお繋がっている運命を示すように。
施設の園長・佐藤ふみが駆け寄ったとき、二人は震えていた。
「なんてことを……」
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=yVebE3R-aPQ,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]