「車が狭いから、あなたは留守番ね。今回は家族水入らずで楽しんでくるから」
足元には、前日の夜から準備していた私の旅行バッグが置かれていました。半年も前から計画していた二泊三日の温泉旅行。宿の予約も、費用の準備も、すべて私がしてきたものでした。
けれど、夫の浩司は何も言いませんでした。
ただ気まずそうに目をそらし、車のキーを握りしめているだけ。
和子は勝ち誇ったような笑みを浮かべて助手席へ乗り込みました。
「定員オーバーなのよ。それに荷物も多いでしょう? あなたがいると気を使うから」
その言葉を聞いた瞬間、私はすべてを理解しました。
しかし、私は怒鳴りませんでした。
泣いて引き止めることもしませんでした。
「分かりました。お気をつけて」
そう静かに告げ、私は笑顔で二人を見送りました。
車が角を曲がり、完全に見えなくなったあと、私はゆっくりと家の中へ戻りました。
この家は、亡き父が残してくれた大切な実家でした。
父は大工で、自分の手でこの家を建てました。木の香りが残る廊下、柱に刻まれた幼い頃の私の身長の印。すべてが父との思い出でした。
しかし十五年前、浩司と結婚した後、義母の和子との同居が始まりました。
「長男の嫁なんだから、親の面倒を見るのは当然でしょう」
和子はそう言って、まるで自分の家のように振る舞い始めました。
私は家事をし、食事を作り、義母の世話をしました。
けれど、感謝されることは一度もありませんでした。
夕食を作っても、私が洗濯物を片付けている間に、浩司と和子は先に食べ終わっていました。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=IRjJsdu2yQ8,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]