妹の結婚式。百人を超える参列者が笑顔で見守る中、突然、場の空気を壊すような大声が響いた。
「自衛隊の中で、お前の名前なんて聞いたことねえぞ? 兄貴が雑魚自衛官とか、新婦がかわいそうだな」
その声の主は、上条だった。
俺、福林誠一と子供の頃から因縁のある男。学生時代は力で周囲を従わせるような存在で、自衛隊に入ってからも同期として顔を合わせることになった。
大学を出た彼は、自分こそがエリートだと言わんばかりに振る舞っていた。
一方の俺は、目立つことを避け、ただ任務を遂行する日々を送っていた。
なぜなら、俺の所属する部隊は表に出ることを許されない場所だったからだ。
俺は陸上自衛隊の特殊作戦群に所属している。
国民を守るために存在する、極秘の特殊部隊。
任務内容は家族にも話すことができない。普段は普通の人間として生活し、誰にも知られないことこそが重要だった。
だが、上条にはそんな事情など関係なかった。
「俺は二曹に昇進したんだぞ。今じゃ幹部候補だ。お前とは格が違うんだよ」
周囲の視線を集め、得意げに笑う上条。
俺は何も言わなかった。
妹の結婚式を、くだらない争いで台無しにしたくなかったからだ。
しかし、その時だった。
俺の隣にいた五歳の娘、エリナが小さな手で俺の服を握った。
「お父さんはね……秘密の忍者なんだよ」
会場の空気が一瞬で変わった。
「忍者?」
上条は鼻で笑う。
だが、エリナは真剣な表情で続けた。
「特殊作戦群っていうんでしょ? 第一空挺団から忍者になったの。だから秘密にされてるんだよ」
俺は言葉を失った。
エリナに特殊作戦群のことを話したことなど、一度もない。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=3ABIuua7RVI,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]